普通、大学の合唱団では、その団の団歌や学歌を演奏するものですが、
我が「遊声」では、「四団の壁を取り払ったコンサートに!」の意味を込めて
ひとつのエールソングを作ることにしました。
そこで、学生で作詞したり、既存の詩を選んだりして、
どの方に作曲を依頼するのかを募った結果、
萩 京子先生にお願いすることになりました。
日本語オペラを多く作曲なさっている萩先生の曲は、
言葉の持つ響きや意味がとても大切にされていて魅力的です。
1956年東京生まれ。
1978年東京芸術大学音楽学部作曲家卒業。
1979年より、オペラシアターこんにゃく座の座付作曲家兼ピアニスト。
1997年より音楽監督となる。
「緋国民楽派」同人。
主なオペラ作品は、「なにもないねこ」(別所実・原作)、「オオカミは走る」、
宮沢賢治原作による3作品「シグナルとシグナレス」「猫の事務所」「北守将軍と三人兄弟の医者」、
シェイクスピア原作による「十二夜」「ハムレットの時間」「夏の夜の夢」(この3作品は林光と共同作品)、
「金色夜叉」「ガリバー」などがある。
以上の作品はいずれもこんにゃく座によって初演される。
この他に「ジョバンニとカムパネルラ」(台本・北村想)、「スマイル」(台本・鄭義信)などがある。
オペラ以外では、合唱曲「飛行機よ」(詩・寺山修司)、宮沢賢治の詩による「風がおもてで呼んでゐる」、
弦楽四重奏曲「冬のスケッチ」、ピアノのための「12の前奏曲」など。
劇音楽としては「千年の孤独」(新宿梁山泊)、「A列車」、「コメディア・ピノッキオ」(オンシアター自由劇場)、
「夜の来訪者」(俳優座劇場プロデュース)、「トガリ山のぼうけん」(劇団前進座)など。
ソング集「HELP!」(ALCD7014)、「ぼくたちのオペラハウス」(EFCD3099)、
「よだかの星」(ALCD7039)、
オペラ「北守将軍と三人兄弟の医者」(FOCD3415)などのCDがある。
この詩には、黒雲の下、漕ぎ出ようとする決意が感じられます。
私が「遊声」のための歌に求めていたこと、
それはどう考えても希望に満ちあふれた時代とは言い難い今日、
それでも決然と出発することを歌いたい、ということでした。
この詩の作者、馮至(フォン・ヂー)は1905年生まれの中国の詩人で、1993年に亡くなられました。
「あらしの中」は、1923年詩人18歳!の作品です。
リルケの影響を強く受けていると言うことですが、
私が現代の日本の詩の中に見出せなかったものにやっと出会えた気がしました。
「あらしの中」を、困難な時代に向かって漕ぎ出でる現代の牽牛と織女たちに捧げます。
ひとりの織女星として。
「遊声」の結成、おめでとうございます。
「遊声」の仕掛人であり、名付け親でもある指揮者の鈴木成夫さんとは、学生時代からの音楽仲間です。
リゲティとかベリオとかと格闘しましたね。
あれからウン十年(?)。この間、私の作曲した「飛行機よ」をいくつかの団でとりあげていただき、
その演奏に接する機会もありました。
このたび鈴木さんによって長い時間をかけて育まれた四つの団が、
こうしてひとつにまとまっていく姿を目の当たりにし、とても感動しています。
「遊声」という名には、鈴木さんの音楽に対する思いが込められていると想います。
学生時代に結成した音楽アンサンブルのグループ名が「ヴォイス・フィールド」。
声の領域という概念から、声が遊んでしまうところまで飛んできたことが、とてもステキだと思うのです。
「遊声」とは、自由な祭りの場でもあります。
祭りを体験することで、より豊かな音楽を獲得できることを願っています。